自販機設置スペースの法的基準と安全対策:トラブルなく運営するための完全ガイド

自動販売機設置に関する法的要件とJIS基準スペース

自動販売機を設置する際には、単に物理的なスペースだけでなく、法的要件や安全基準も満たす必要があります。適切な設置スペースの確保は、法令遵守と安全な運営の両面で重要です。本記事では、自販機設置の法的側面、JIS基準、および安全対策について詳しく解説します。

自販機設置に関連する主な法令

自動販売機設置には、以下のような法令が関連しています:

  1. 道路交通法: 道路上への設置は原則禁止
  2. 食品衛生法: 食品・飲料を扱う場合の衛生基準
  3. 消防法: 火災予防や避難経路確保に関する規定
  4. 建築基準法: 建物内設置における構造的要件
  5. 電気用品安全法: 電気設備の安全基準
  6. 各自治体の条例: 地域ごとの設置基準や届出要件

特に注意すべきは道路交通法で、公道上や歩道に自販機の一部でもはみ出すことは禁止されています。設置場所は完全に私有地または許可を得た場所である必要があります。

JIS基準に基づく自動販売機据付規格

自動販売機の設置には「JISB8562:1996 自動販売機-据付基準」という明確な日本工業規格が定められています。この規格は、全質量1,000kg以下(幅2,000mm以下、高さ2,200mm以下、奥行き1,000mm以下)の床置式の自動販売機を対象としており、地上のコンクリート面またはこれと同等以上の強度をもつ据付面に設置する際の基準を規定しています。

JIS基準における主な規定項目

  1. 据付方法
    • 自動販売機の脚部と据付面との固定金具の仕様
    • あと施工アンカーの種類と施工方法
    • 固定用ボルトの締め付けトルク
  2. 耐震性能
    • 想定される地震力に対する耐性
    • 震度5強~6弱程度の地震に耐えられる固定強度
  3. 据付面対策
    • コンクリート面の強度要件
    • アスファルト面や土への設置方法(コンクリートブロックの使用など)
  4. 安全係数
    • 転倒防止のための安全率の確保
    • 自動販売機の重心高さと底面積の関係性

この基準は、日本自動販売機工業会によって「自動販売機据付基準マニュアル」としてさらに詳細化されており、これらの基準に従って設置作業を行う必要があります。そのため自動販売機の設置・据付作業は、JIS基準の遵守や安全面の確保から、専門の設置業者に依頼するのが一般的です。

安全性を確保するための自販機設置スペース設計

自動販売機の安全な運用のためには、適切なスペース設計が不可欠です。利用者の安全と機器の保全の両面から検討しましょう。

転倒防止のためのスペース確保と固定方法

自動販売機の転倒事故を防ぐためには、以下の対策が必要です:

  • 平坦な設置面の確保: 傾斜地や不安定な場所への設置は避ける
  • 固定用スペース: アンカーボルトによる固定のための余裕
  • 耐震対策: 耐震マットや転倒防止金具の設置スペース
  • 重心バランス: 自販機の重心を考慮した設置(特に傾斜地では注意)

設置環境によって異なる固定方法が採用されます:

  1. コンクリート面への設置:
    • アンカーボルトによる直接固定(JIS基準で最も推奨)
    • 自販機4脚すべてに金属プレートを使用した固定
    • M10以上のアンカーボルトを使用した強固な固定
  2. アスファルトや土壌面への設置:
    • コンクリートブロック(長さ80~90cm×幅30cm)を敷設
    • 自販機とブロックを連結して固定
    • 複数枚のブロックを使用し十分な重量を確保
  3. 屋内環境での設置:
    • 転倒防止用の金属プレート(長さ80~90cm)の設置
    • 自販機前面に突き出すように設置し前倒れを防止
    • 建物の階層数や設置階に応じた長さの調整

電気系統の安全確保と必要スペース

自動販売機の電気系統の安全確保には、以下のようなスペース確保が必要です:

  • 専用コンセント: 単相100V・15A以上の専用コンセントの設置スペース
  • 漏電遮断器: 漏電ブレーカー設置のためのスペース
  • 配線スペース: 電源ケーブルの配線経路と保護のためのスペース
  • 屋外設置時の防水対策: 防水コンセントや防水カバーのためのスペース

バリアフリー対応と利用者の安全確保

多様な利用者が安全に自動販売機を利用できるよう、以下のスペース確保が推奨されます:

  • 車いす利用者のアクセススペース: 前面に最低150cm×150cmの操作スペース
  • 通路幅の確保: 最低120cm以上の通路幅
  • 操作部の高さ: 車いす利用者も操作しやすい高さに設定
  • 視覚障害者向け配慮: 点字表示や音声ガイダンス機能のスペース

自動販売機の設置は、見た目以上に専門知識と技術が求められる作業です。JIS基準に準拠した安全な設置を行うためには、専門業者への依頼が不可欠です。適切な業者選定と設置後の定期的なメンテナンスにより、長期間にわたって安全かつ効率的な自販機運営が可能となります。

自動販売機の設置を検討されている方は、この記事を参考に、安全性と利便性を両立させた最適なスペース設計と設置方法を選択してください。専門業者との連携により、JIS基準に準拠した安全な自動販売機の設置を実現しましょう。

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