自販機で「売り切れランプが点灯するのに庫内に1本残っている」現象は故障ではない?新米オーナーが知るべき仕組み


はじめに

自販機を初めて設置したオーナー様から、よくいただく質問があります。
「売り切れランプが点灯しているのに、補充作業中に庫内を確認するとまだ1本残っている。これは故障ではないのか?」

利用者にとっては「売り切れ=完全に在庫がない」という認識が一般的です。しかしオーナー目線では「残っているのに売れない=不具合」と感じやすく、不安や疑問が生じやすい部分です。

結論から言えば、これはほとんどのケースで正常動作であり、故障ではありません。本記事では、この仕組みを正しく理解し、新米オーナーが安心して自販機を運用できるように解説します。


利用者の認識:「売り切れ=在庫ゼロ」

まず押さえておくべきは、一般利用者の認識です。
自販機を利用するお客様は、売り切れランプが点灯した時点で「もう1本も残っていない」と考えるのが一般的です。実際には庫内に1本だけ残っている場合でも、その存在を知ることはできません。

つまり、「残り1本を販売しない」という仕組みは、利用者には知られていませんが、違和感のあるものではなく特に問題はありません。問題になるのは、オーナーや補充担当者が“故障ではないか”と誤解してしまうケースです。


自販機が最後の1本を販売しない理由

自販機の排出機構は、商品が水平を保ってベンドメカ(搬出装置)まで落ちるよう設計されています。庫内が満タンのときは、上からの荷重によって各商品がしっかり水平を保ち、安定して押し出されます。

しかし最後の1本になると、上からの荷重がなくなるため、商品が傾きやすくなる場合があります。特にPETボトルや異形缶などは形状が安定しにくく、水平を維持できないことがあります。その結果、商品が途中で引っかかったり、取り出し口まで落ちてこないリスクが高まります。

こうした排出不良は返金やクレームの原因となるため、ベンドメカの1本分手前の位置に売り切れ感知スイッチが付いており、「残り1本=売り切れ」と判定する仕様を採用しているのです。


新米オーナーが勘違いしやすいポイント

「庫内に残っているのに売れない=故障?」という不安

オーナーとして初めて自販機を導入すると、庫内にまだ商品が残っているのに販売されないことに違和感を覚えます。
「まだ売れるのに、なぜ売り切れランプが点灯するのか」
「売上を取りこぼしているのでは?」
と不安になるのは自然なことです。

しかし、この仕様はむしろ売上を守るための仕組みです。最後の1本でトラブルが発生すれば、返金対応や顧客離れにつながり、結果的に損失となります。オーナーは「残り1本は売られないのが正しい」と理解することが重要です。

商品入れ替え時の注意点

これまでと別の商品に入れ替える際には必ずテスト販売をして最後の一本を抜く習慣を身につけましょう。売り切れランプがついていも、1本残っているからです。そのまま別の商品に切り替えた場合、違う商品が出たというクレームのもとになります。


故障かどうかを見極めるチェックポイント

正常動作と故障を切り分けることも、オーナーの重要な役割です。以下のような場合は点検が必要です。

  • 庫内に複数本残っているのに売り切れランプが点灯する
  • 商品が複数本残っているのに排出されない
  • 特定の列だけ頻繁に売り切れ誤表示が出る

このような場合は、缶詰まりなどの操作ミスやベンドメカの不良などの故障が疑われます。早めに修理業者へ相談することで、売上機会の損失を防げます。


最後の1本まで売り切りたいオーナーへ:「売切後1本販売」機能

とはいえ、中には「最後の1本まで売り切りたい」と考えるオーナーもいらっしゃるでしょう。その場合に役立つのが、各メーカーが用意している**「売切後1本販売」機能**です。

この機能を有効にすると、自販機は「売り切れ」を感知したあと、さらに最後の1本だけ販売してから売り切れランプを点灯するようになります。これにより「庫内に1本残っているのに売れない」という状況が解消され、オーナーのもやもやを取り除くことができます。

メーカーごとの設定例

  • 富士電機の場合:モード「3-05」で設定可能(売切後1本販売機能)
  • サンデンの場合:モード「3-06」「3-07」「3-08」で設定可能(売れ残り0本設定)

設定方法は機種によって異なるため、取扱説明書やメーカーサポートを参照する必要がありますが、基本的にはサービスモードに入って該当のモード番号を操作する形です。

注意点

ただし、この機能を使う場合は「最後の1本で排出不良が起きる可能性」を理解しておくことが重要です。特にPETボトルや異形缶では傾いて出ないリスクがあるため、トラブル防止と売上最大化のバランスを考慮して運用することをおすすめします。


補充担当者の視点:テスト販売モードの活用

補充やメンテナンスの際に利用する「テスト販売モード」では、売り切れ判定を無視して商品を排出できます。これにより、残り1本の状態でも「排出テスト」が可能になります。

オーナーや補充スタッフは、この仕様を理解しておくと「残り1本が販売されないのは正常」「テスト販売で出せるのは点検用」と切り分けられ、不安や誤解を減らすことができます。


まとめ

  • 利用者は「売り切れ=在庫ゼロ」と認識しており、最後の1本が残っていても問題なし
  • 自販機は「排出トラブル防止」のために最後の1本を販売しない
  • 特にPET商品や異形缶は最後の1本で水平を保ちにくく、稀に排出不良の原因となることもある
  • 新米オーナーは「庫内に残っているのに売れない=故障」と誤解しやすいが、これは正常動作
  • 売上管理では「売り切れ表示=残りゼロ」とみなすのが正しい
  • どうしても最後の1本まで売り切りたい場合は「売切後1本販売」機能を活用できる(富士電機:3-05/サンデン:3-06~3-08)
  • 複数本残っているのに売り切れ表示が出る場合は、故障の可能性があるため要点検

自販機運営では、このような細かな仕様を理解しておくことが、安心してビジネスを継続するための第一歩です。

「じはんきや」では、25年以上の実績を活かし、自販機オーナー様の不安や疑問を解消するサポートを行っています。設置から運営、メンテナンスまでトータルでお任せいただけます。詳しくは公式ホームページ(https://jihanki.co.jp)をご覧ください。

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