目次
はじめに
近年、日本でも自販機のキャッシュレス化が急速に進んでいます。自動販売機でのキャッシュレス決済は、利便性の向上やキャッシュレス推進政策の影響もあり、多くの事業者が導入を検討しています。本記事では、主要なキャッシュレス決済端末メーカーの比較と、導入にかかるコスト(端末費用、月額費用、決済手数料)について詳しく解説します。
キャッシュレス決済の種類
自動販売機で利用できるキャッシュレス決済は主に以下の3種類があります。
- QR決済:PayPay、LINE Pay、楽天ペイなどのスマートフォンアプリによるQRコード決済
- 電子マネー:交通系ICカード(Suica、PASMO)、iD、QUICPayなどの非接触型決済
- クレジットカード決済:VISAやMasterCardなどのクレジットカードによる決済
主要メーカーと製品比較
1. NECプラットフォームズ/エム・ピー・ソリューション
製品名: マルチ決済端末 VP6300/JMMS(IM10) 無人機・自動機・自販機向けキャッシュレス決済サービス JMMS
特徴:
- NECとエム・ピー・ソリューションが連携して提供する総合決済ソリューション
- 新型決済端末「IM10」は多様な決済方法に対応したオールインワン端末
- 国内主要な電子マネー、QRコード決済、非接触型クレジットカード決済に対応
- JVMA(日本自動販売システム機械工業会)の国内標準規格に準拠
- クラウド連携によるリアルタイムでのデータ管理が可能
対応決済方法:
- QR決済: ○(PayPay、LINE Pay、d払い、楽天ペイなど多数対応)
- 電子マネー: ○(交通系IC、iD、QUICPay、nanaco、WAONなど)
- クレジットカード決済: ○(VISA、Mastercard、JCB、AMEX、Dinersなど)
費用目安:
- 端末費用: 12万円〜18万円
- 月額費用: 3,000円〜5,500円
- 決済手数料: 2.9%〜3.6%
2. サンデン・リテールシステム株式会社
製品名: 自販機用キャッシュレス決済端末 CRW-MJC02 サンデン・リテールシステム キャッシュレス決済サービス
特徴:
- サンデン製自動販売機との完全互換性
- 電子マネーやQR決済に対応した統合システム
- 2023年6月より社員証や会員証などIDカードでの決済にも対応(Myタッチシステム)
- サンデンRSクラウドとの連携による管理機能
- タッチパネルでの視覚的に分かりやすいインターフェース
対応決済方法:
- QR決済: ○(コード決済)
- 電子マネー: ○
- クレジットカード決済: ×
費用目安:
- 端末費用: 14万円〜19万円
- 月額費用: 3,200円〜5,500円
- 決済手数料: 3.0%〜3.6%
3. コンラックス株式会社
製品名: ME-10 ME-10シリーズ | 日本コンラックス
特徴:
- 自動販売機に特化した決済端末メーカー
- 海外で実績のある技術を日本市場向けに最適化
- 小型・堅牢設計で設置が容易
- JAMA(日本自動販売協会)推奨電子マネーシステムに採用
- 国内主要電子マネー6種類(交通系IC、iD、楽天Edy、QUICPay+、WAON、nanaco)に対応
- シンクライアント技術により低コストを実現
対応決済方法:
- QR決済: ○(順次対応予定)
- 電子マネー: ○
- クレジットカード決済: ×
費用目安:
- 端末費用: 13万円〜18万円
- 月額費用: 3,000円〜5,000円
- 決済手数料: 2.9%〜3.5%
4. ナヤックス(Nayax)
製品名: VPOS Touch クレジットカードリーダーのキャッシュレス決済 – VPOS Touch
特徴:
- 世界最大級のシェアを持つ組込型キャッシュレス決済端末
- カラータッチスクリーン搭載で利用者の利便性向上
- あらゆる決済種別、自販機・無人端末に接続可能なマルチ決済端末
- リモート管理機能と音声ガイダンス機能が標準装備
- 社員証などNFCを利用した独自決済も可能
対応決済方法:
- QR決済: ○(PayPay、LINE Pay、WeChat Pay、Alipayなど多数対応)
- 電子マネー: ○(Suica、PASMOなど交通系ICカードにも対応)
- クレジットカード決済: ○
費用目安:
- 端末費用: 15万円〜20万円
- 月額費用: 3,500円〜5,500円
- 決済手数料: 3.0%〜3.7%
QR決済専用のサービスを提供している事業者
QR決済に特化した専門事業者も登場しており、特に注目すべき企業を紹介します。
1. インスパイリー(INSPIRY JAPAN株式会社)
製品名: PPS7700(自販機組込み型QR決済端末) インスパイリー PPS7700製品情報
特徴:
- 中国の二次元コード技術に特化した企業で、16年以上の技術研究実績
- 業界初となる二次元コード決済、NFC決済、スクリーン表示機能を一体化
- 2022年度グッドデザイン賞受賞製品
- ドライバー不要で取り付けが簡単
- 音声ガイド機能搭載で利用者にも優しい設計
対応決済方法:
- QR決済: ○(PayPay、LINE Pay、楽天ペイなど多数のQRコード決済に対応)
- 電子マネー: △(FeliCa性能検定Mクラス取得済み、今後順次対応予定)
- クレジットカード決済: △(EMVコンタクトレス決済、今後順次対応予定)
費用目安:
- 端末費用: 8万円〜12万円
- 月額費用: 1,500円
- 決済手数料: 2.5%〜3.2%
2. ヤールベンド
製品名: QR決済専用端末 ヤールベンド 自動販売機向けQR決済ソリューション
特徴:
- 小型でコンパクトなQR決済専用リーダー
- 既存の自動販売機に後付け可能
- シンプルな操作性と安定した通信環境
対応決済方法:
- QR決済: ○(主要QRコード決済アプリに対応)
- 電子マネー: ×
- クレジットカード決済: ×
費用目安:
- 端末費用: 8万円〜12万円
- 月額費用: 1,500円〜2,500円
- 決済手数料: 2.7%〜3.3%
決済方法別の対応比較
メーカー | QR決済 | 電子マネー | クレジットカード |
---|---|---|---|
NECプラットフォームズ/MP | ○ | ○ | ○ |
サンデンRS | ○ | ○ | × |
コンラックス | ○ | ○ | × |
ナヤックス | ○ | ○ | ○ |
インスパイリー | ○ | △(予定) | △(予定) |
ヤールベンド | ○ | × | × |
導入時の注意点
- 決済手数料の違い: 各決済方法によって手数料率が異なります。例えば、QR決済は一般的に2.5%〜3.5%、電子マネーは3.0%〜3.75%、クレジットカードは3.0%〜3.75%程度が相場です。
- 通信費用: オンライン決済には通信環境が必要であり、通信費用が別途発生することがあります。
- 入金サイクル: 決済代行会社によって、売上金の入金サイクルが異なります(翌日〜1ヶ月程度)。
- 保守費用: 端末の保守費用が別途必要になる場合があります。
まとめ
自動販売機のキャッシュレス決済端末を選ぶ際は、初期費用、月額費用、決済手数料だけでなく、対応する決済方法やサポート体制も重要な検討ポイントです。また、自社の販売戦略や設置場所の特性に合わせて最適な端末を選ぶことが成功への鍵となります。
QR決済のみに対応した専用端末は、シンプルな決済ニーズには最適で、比較的低コストで導入できる利点があります。特にインスパイリーやヤールベンドなどの専門メーカーは、QR決済に特化した高性能な端末を提供しています。一方、複数の決済手段に対応したい場合は、NECプラットフォームズ/MPソリューションやナヤックスなどの総合的な端末が適しています。サンデンRSやコンラックスのME-10は、電子マネーとQR決済に特化した端末として、クレジットカード決済が不要な場合に適したソリューションです。
自社のニーズと予算に合った製品を選ぶために、複数のメーカーから見積もりを取得して比較検討することをおすすめします。
じはんきやでは、一部のメーカーの端末の販売および取付作業までは対応可能ですが、それ以外は専門外のため十分なご説明ができません。
サービスのご契約や決済代行、操作説明、アフターサービスなどは端末のメーカーまたは決済代行会社との契約となりますので、各メーカー/サービス提供会社と打ち合わせをお願いします。
百聞は一見に如かず
実機を見て、触れて、体験することで、より深く理解できます。
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